
油絵を乾燥させながら重ねるときは、下の層より先に上の層だけが硬くなる組み合わせを避けます。基本となるのは、下層を薄く、油分を控えめにし、上層の柔軟性と乾燥の順序を考えることです。油を増やせば必ずひびを防げるという意味ではありません。
油分、厚み、乾燥速度を一緒に見る
ファット・オーバー・リーンは、上の層を下の層より油分の多い、柔軟性を保つ構成にする考え方です。同時に、厚い層の上へ先に硬くなる薄い層を重ねないこと、乾燥の遅い色を下に置いた場合の待ち時間にも注意します。
油分と絵の具の厚さは別です。薄く塗った透明な層でも油を多く含むことがあります。見た目の盛り上がりだけで層の関係を判断せず、混ぜたメディウムも記録します。
下層の材料を分かる状態で重ねる
初期の下塗りは薄く進め、製品の推奨する使い方の範囲で媒材を調整します。溶剤で極端に薄めて結合の弱い層を作ったり、毎回気分で大量の油を足したりしないようにします。
層を乾かして重ねる方法では、下層の乾燥状態を確かめてから進めます。触れる程度の乾燥と完全な硬化は同じではなく、厚い層ほど慎重な判断が必要です。濡れたまま仕上げる技法と、乾燥を挟む積層の管理を混同しません。
ひびが出た作品を上塗りだけで直さない
すでに割れた塗膜へ油や絵の具をかぶせても、下の不安定さを解消できるとは限りません。剥がれを伴う場合は触ったり削ったりせず、作品を残したいなら修復の専門家へ相談します。
練習作品では支持体、絵の具、媒材、順序を控え、同じ材料の小片を一緒に作ります。基本の順序を守っても材料や保管条件は影響するため、ひび割れが絶対に起こらないと考えず、過剰な厚塗りや急な乾燥を避けます。

