
ひな祭りの祝い膳では、はまぐりの潮汁、菱餅、ちらし寿司などに、子どもの成長や幸せを願う意味が重ねられてきました。ただし料理ごとの由来や意味には地域差や複数の説明があります。すべてに一つの確定した起源がある、と考える必要はありません。
はまぐりの潮汁には、よい縁への願い
はまぐりの二枚の殻は、もともとの組み合わせが合うことから、仲のよい夫婦やよい縁に結び付けて説明されます。祝いの席で、将来の幸せを願う食べ物として扱われてきました。食べれば結婚が決まるといった効果の話ではなく、象徴としての意味です。
料理名の『潮汁』は、魚介のうま味を生かした澄んだ汁物を指します。海水をそのまま食卓へ出すという意味ではありません。
菱餅の三色は、春の景色などに見立てられる
菱餅はピンク・白・緑を重ねた形がよく知られています。色を桃の花、雪、芽吹く草などに見立て、春や健やかな成長を願う説明があります。地域によって色や重ね方が違う場合もあり、一種類だけが正しいわけではありません。
ひなあられも地方によって姿や味が異なります。自分の地域の形を全国共通だと決めず、家族に昔の祝い方を聞くと行事の違いを楽しめます。
ちらし寿司は、縁起のよい具と華やかさが祝いの席に合う
えびは長寿、れんこんは先を見通せることなど、具材に願いを重ねる説明があります。ちらし寿司そのものに古くから一つのひな祭りの由来があるというより、彩りや縁起のよい具が祝いの料理として親しまれていると捉えると自然です。
祝い膳を全部そろえなければ祝えないわけではありません。食べる人に合う献立を選び、『どんな願いが込められているのか』を話しながら食卓を囲むことでも、行事を伝えられます。

