楠水閣は「温泉がある旅館」ではなく、湯めぐりが旅の目的になる
脇田温泉の湯めぐりの宿 楠水閣は、福岡市と北九州の間、犬鳴川沿いに佇む温泉旅館です。旅館名の通り、大浴場に一度入って終わるのではなく、館内大浴場、露天風呂施設、家族風呂、温泉付き客室を行き来すること自体が滞在の中心になります。
敷地内の日帰り露天風呂「湯乃禅の里」には、男女合わせて9種の露天風呂があります。宿泊者は無料で利用でき、チェックイン前とチェックアウト後も当日中なら無料で入浴できる案内です。早めに到着して温泉へ入り、チェックイン後に客室で休み、夕食後は館内大浴場、翌朝にもう一度別の湯へ、という一泊でも複数回の湯浴みができます。
泉質はアルカリ単純泉。温泉を旅の付属品ではなく、宿へ行く目的にしたい人ほど相性の良い旅館です。

湯乃禅の里は9種類。休館日と男女入替も旅程に関わる
湯乃禅の里は11時から22時30分、最終受付22時。露天の湯船には庄助の湯、かっぱ天国、水車風呂、釜風呂など個性の違う浴槽があり、木曜には男女を入れ替える運用が案内されています。
毎週水曜が基本の休館日ですが、祝日などで変わる場合があります。楠水閣を「露天風呂巡りがしたい」という理由で予約するなら、宿泊日に湯乃禅の里が営業しているかは重要です。月ごとに旅館の休館日も案内されており、休館日の翌日は館内大浴場やランチが休みになる場合があります。
温泉施設が多い宿だからこそ、すべてが毎日同じ条件で動いているとは限りません。宿泊日と各湯処の営業を合わせて見ると、湯めぐりの満足度が変わります。

家族風呂と温泉付き客室で、子ども・夫婦の入り方を変えられる
人目を避けて入浴したい家族や夫婦には、家族風呂「夢ごもり」があります。宿泊者は9時から21時の間で1回40分利用でき、人気があるため宿泊予約と合わせて電話予約する方法が案内されています。
さらに全29室のうち8室は温泉を備えた客室です。露天風呂付き、展望風呂付き、檜の内風呂付きとタイプが分かれ、部屋を出ずに脇田温泉へ入れます。小さな子どもを連れて何度も大浴場へ移動するのが大変な家庭、記念日で二人の時間を重視する夫婦には、温泉付き客室の価値が上がります。
一方で、湯乃禅の里や大浴場を何度も巡ることが目的なら、標準客室に泊まって館内外の湯へ予算を回す考え方もあります。楠水閣では客室の豪華さと湯めぐりの量をどちらに寄せるかで、宿泊プランの選び方が変わります。
客室は犬鳴川側から大人数和室まで。階段が必要な部屋もある
客室は温泉付きの和モダン、和洋室、白木館の和室、木造の湯原館・脇田館など幅広く用意されています。湯原館の客室は犬鳴川に面し、10〜15帖の和室で最大8名まで利用できるタイプがあります。家族や友人グループで同じ部屋に泊まりたい場合にも候補になります。
一方、白木館の一部客室は階段を利用するため、昇降が難しい人には不向きと公式に明記されています。館内大浴場も階段移動になる案内があるため、高齢の家族や足の不自由な人と泊まる場合は、温泉付き客室や移動の少ない部屋を選ぶことが重要です。
温泉旅館では部屋の広さや景色に目が行きますが、楠水閣は建物が犬鳴川を挟んで複数館に分かれています。客室から食事会場、温泉への館内移動も含めて選ぶと、同行者に合った部屋を見つけやすくなります。

会席は4グレード。朝食は7時〜8時30分開始
夕食は地元の山・川・海の旬を取り入れた会席で、公式サイトでは4つのグレードが用意されています。食材と品数の違いを見ながら、温泉中心の宿泊にするか、料理も記念日の主役にするかを選べます。
個室食事会場「花鳥風月」など、落ち着いて食べられる食事場所もあります。小学生以下にはお子様ランチのほか、刺身、天ぷら、陶板焼きが付くお子様会席もあり、大人の会席に近い食事を希望する子どもにも対応できます。
朝食は和食御膳で、開始時間は7時から8時30分。米や地元食材を中心にした旅館らしい朝食です。翌朝早く福岡市内へ戻る予定がある場合は、朝食開始時刻と出発時刻を合わせてプランを考える必要があります。

博多から車約50分。公共交通では予約制送迎が鍵になる
車では福岡ICから約25分、若宮ICから約15分、福岡空港から約50分という公式目安があります。駐車場は第一から第三まで用意されているため、福岡県内の夫婦旅行や家族の一泊ドライブと相性があります。
公共交通では、篠栗駅と楠水閣の間に宿泊者専用の無料送迎バスがあります。1日1便で、篠栗駅15時発、翌朝は楠水閣10時発。2日前までの予約制で、人数に限りがあります。
駅から随時迎えに来るシャトルではないため、公共交通で泊まる人は送迎時刻を基準に旅程を組む必要があります。到着が遅い予定なら別の交通手段を検討し、逆に送迎時間に合わせられるなら、車がなくても山あいの温泉宿へ入りやすくなります。
犬鳴川の景色と館内ラウンジまで使うと、連泊にも余裕が出る
館内は湯原館、脇田館、白木館の三館を渡り廊下でつなぎ、畳敷きの空間が続きます。犬鳴川のほとりには樹齢800年と案内される夫婦楠があり、川沿いの景色や自然を感じながら過ごせます。
昼は温泉水を使った温泉コーヒーを楽しめる喫茶、夜はライトアップされた川を眺めるバーラウンジもあり、温泉と食事の間を館内で過ごせます。観光地を何か所も回るより、宿に早く到着して湯めぐりと休憩を繰り返すほうが楠水閣らしい時間になります。
福岡市内から近い一方で、街から離れた山里の空気を味わえることが脇田温泉の魅力です。温泉の種類、客室、食事、移動方法まで自分に合う組み合わせを選べる人ほど、この旅館の情報量の多さを楽しめます。
